子どもの様々な要求を断るのに苦労しているお母さん、お父さんも
少なくないでしょう。
子:「お母さん。新しいゲーム買ってよ」
親:「何を言っているの!この間、買ってあげたばかりでしょう!」
子:「あれはもう古いんだよ。友達はみんな新しいゲームを買って
もらっているんだよ」
親:「他人は他人でしょ!みんなが持っているからと言って何でも
新しいものを欲しがるもんじゃないわよ」
子:「なんで買ってくれないんだよ」
親:「家(うち)には、そんなお金がないのよ」
子:「うそだよ。お金がないのになぜお母さんは、この間、新しい靴を
買ったんだよ」
親:「裸足で外に出れないでしょ!」
子:「それなら、古い靴を履けばいいじゃないか!」
親:「何それ。お母さんは働いて買っているんだから、あなたに言われる
筋合いはないわ。悔しかったら、あなたも働いて自分で買いなさい」
子:「まだ、働けるわけないだろう」
親:「それなら、あきらめるのね」
子:「なんてひどい親なんだ」
この親は、子どもの言いなりになってゲームを買ってあげるつもりは
ないようです。
しかし、断り方に一貫性がないので、断る理由が二転三転するとともに、
感情的なやり取りが繰り広げられ、子どもは納得できません。
「ひどい親」と言われるぐらいなら買ってあげた方が良いのでしょうか?
次の会話を見て下さい。
子:「お母さん。新しいゲーム買ってよ」
親:「この前、買ってあげたから、買う必要がないと思うわ」
子:「新しいのが出て、みんな持っているんだよ」
親:「そうなの。でも、お母さん、今、買ってあげるつもりはないわ」
子:「こんなに頼んでいるのに、なぜ買ってくれないんだよ」
親:「お母さんは、今、そのゲームの必要性を感じないので、残念
だけど買ってあげられないわ」
子:「僕にとっては必要なんだよ」
親:「あなたが必要だと思っても、お母さんは必要性を感じないのよ」
子:「そんなのずるい」
親:「お母さんはずるいとは思わないわ。今、買ってあげる必要が
ないと感じているだけ。どうしても買ってほしいなら、お母さん
が買ってあげてもいいかなと感じられるようにして頂戴。
『みんな持っているから』じゃ無理よ」
子:「なんて言えば買ってくれるの?」
親:「それは、あなたが考えることよ。あなたが、どうしても必要なら
考えてみて。今日は、この話はここまでにしましょう」
子:「ちぇっ!」
この会話でも、子どもは要求が通らないので納得できていないかもしれません。
しかし、親が説得して諦めさせようとしているというより、感情的にならず、
「親が必要性を理解できない」という一貫性があるために、
親を説得できない自分にも「ちぇっ!」と言っているようです。
子どもの要求を断るなら、後半のような親の態度が
子どもを傷つけることが少なく、更に子どもの自律を促します。
子どもがどうしても他者に対して要求を通したいのなら、
要求の対象である他者に
妥当性を理解してもらえるアプローチが必要であることを学べるからです。
ちょっと冷たく感じるかもしれませんが、下手に説得しようとするより効果抜群です。
もちろん、子どもの説明で要求を聞き入れてもいいかなと感じたのなら
可能な範囲で応えることも大切です。子どもにとって、いつも撃沈では
学びは得られませんから。
メールマガジン【子どものやる気を引き出す!親のアプローチ】より
作者:井上郁夫(心理カウンセラー・学習スタジオクロスロード講師)
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