親:「何でテストがこんなに悪いの?」
子:「だって難しかったんだもん。」
親:「何が難しいの!?授業でやったことがテストに出ているのに、
できないのは、あなたが勉強していない証拠よ!」
子:「ちゃんと勉強したよ!」
親:「勉強したのにこの点数ということはどういうこと!?」
子:「だから難しかったって言っているだろう。」
親:「全くあなたは、いつも訳ばかりなんだから!」
この会話を読んで皆さんはどう感じますか?
親として、この位のことは言いたくなると共感されますでしょうか。
しかし、一見普通の会話のようで、実は会話になっていないことにお気づきでしょうか。
上の親と子の発言の中で、主観的な部分を探してみてください。
ほとんどの発言が親あるいは子どもの主観であることにお気づきでしょうか。
例えば、「なんでテストがこんなに悪いの?」では、
「こんなに悪い」
は何を基準に親はそう感じたのでしょうか。
親独自の基準と比較していることに気づくと思います。
子どもの「だって難しかったんだもん」という発言も、
何を基準に難しいと感じたのでしょうか?
おそらく、子どもがテストで思ったほど自信を持って解けなかったから
難しいと感じたのでしょう。
他の生徒はそうは感じていないかもしれません。
このように見ていくと、よくある親子の会話は、
それぞれの思い込みで発言し合っていることが多いのです。
思い込みが親と子で違えば、本当の意味での会話は成り立ちません。
このような会話の表現を事実表現ということにします。
自分の主観(基準)で発言しているにも拘わらず、
客観的な基準で発言しているのが事実表現です。
そこで、
親:「このテストの結果、お母さんは悪いと思うのだけれど
あなたは どう感じているの?」
子:「確かに悪いと思うよ。解いている時にも難しいと感じたし・・。」
親:「あなたも悪いと感じているのね。これは、勉強しなかったことが
原因じゃないかと思うのだけれど・・・。」
子:「自分ではちゃんとやったつもりだったけど、
やっぱり結果を見ると勉強が足りなかったのかもしれないなぁ。」
親:「勉強が足りなかった、と反省もしているのね。」
子:「そうなんだ。テストの解き直しをして、
どんな勉強が足りないのか確認してみようと思っているんだ。」
親:「それはいいわね。次のテストでは、あなたの頑張りが
良い結果につながることを期待しているわ。」
先ほどの会話と比べると雰囲気がずいぶん和んでいる感じがしませんか?
相手の話を受け止めた上で、自分の考えとして発言しているので、
感情的にならないスムーズな会話になったのです。
後者の表現を、前者の事実表現に対して、意見表現と言います。
「私の考えでは・・・」「私の意見では・・・」という表現です。
あくまでも意見として伝えているだけなので、
相手を不愉快にすることなく、つまり感情的にならずに意見交換できる表現方法です。
私たちの周りには、客観的事実のようで、
実は自分だけの思い込み(主観)ということが沢山あります。
互いに建設的な会話ができるよう意見表現でお子さんに話しかけてみてください。
意見表現で会話が変わります。
そして、親子の人間関係がより信頼に基づく関係に変わるのです。
メールマガジン【子どものやる気を引き出す!親のアプローチ】より
作者:井上郁夫(心理カウンセラー・学習スタジオクロスロード講師)
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