「あなたは、好きなことばかりやって!
嫌なことはまったくやらないんだから・・・。」
言葉にして、伝えているかどうかは別にして、
子どもの行動をこのようにネガティブに捉えるお父さん・お母さんは、少なくないかもしれません。
母:「あなたは、部活ばかりやって・・・少しは勉強しなさい」
子:「少しはちゃんとやっているよ!」
母:「少ししかやってないじゃない」
子:「『少し勉強しろ!』って言うから少しやっていると言ったんだよ」
母:「部活だけをやって高校に行けるわけじゃないんだから、
しっかり勉強しないと高校に行けないわよ」
子:「またその話・・・。じゃあ部屋に行って勉強してくるよ」
母:「どうせ、またゲームでもやるんでしょう。それなら早く寝なさい」
子:「はあ・・・。そうします」
母:「(まったく、この子ったら・・・)」
先日の全米オープンテニスで、準優勝した錦織圭さんは、
どんな育てられ方をしたのか興味があって、ちょっと調べてみました。
ご両親は、趣味程度でテニスをやっていたくらいで、全く畑違いのお仕事をされていたようです。
家族の趣味のためにラケットを買ったのが、彼のテニスを始めるきっかけだったようです。
ご両親の方針は、「好きなことを自由にとことんやらせる」だったとか。
12歳でフロリダのテニスアカデミーでトレーニングしている頃は、
体も小さく、体力もない子だったようです。
でも、コーチは長い目で彼を育てようと考え、焦らずじっくり育てたそうです。
また、ゲームが好きで、空き時間には夢中になっていたようで、
普通の子とくらべるとゲームに集中し、長時間にわたることもあったようです。
ゲームの中でも、次々に新しい個性的な技をつくるなど、創造力に長けていたようですが、
日本にいたら、「目が悪くなり、テニスに悪い影響があるのでやめさせたかもしれない」とコーチは言います。
さて、わが子を世界に通用する人間にしようと真剣に考えている親は多くはないかもしれませんが、
彼を取り巻く環境から学ぶところがあるなと感じました。
◎長い目で子どもを見守る
とかく、何か子どもの結果が出ると、人生のゴールのように一喜一憂する親は少なくないのではないでしょうか?
長い目で見守る勇気を親がもつことは大切なのです。
◎子どもの好きなことをとことんやらせる
とかく、「部活も、勉強もバランスよくできたらいいなぁ」と親は思いがちですが、
好きなことをとことん取り組ませることで、その子の才能や個性が伸びるのではないでしょうか。
好きなことに夢中になることを否定的に捉える親もいるでしょうが、
好きなことを一生懸命続けることは、並大抵の努力ではできません。
毎日毎回の食事で、同じ好物が食卓に並んだとしたら、何回まで飽きず
に食べられるでしょう。
好きなことを続けることができることは、凄いことなのです。
◎子どもの良いところを探す
仮に、遊びであっても、その中に、その子の個性や特性をポジティブに発見しようとする姿勢を
親が持つことが大切なのです。
以上のような姿勢や態度を身につければ、先ほどの会話は以下のように変わるかもしれません。
母:「あなたは、本当に部活に一生懸命ね。よく朝早くから、夕方まで毎日がんばれるわね。
あなたの根性はすごいと思うわ」
子:「別に大したことないよ。好きなことだし・・・」
母:「好きなことでも一生懸命続けることは難しいものよ。
あなたがそれをできているなんて誇りに思うわ」
子:「照れるなぁ。そこまで言われちゃぁ。宿題でもやりますか」
母:「やっぱりすごい!」
~追伸~
週末、池袋の駅前の混雑する中で、おばあさんが地べたに座り、4~5歳の孫を抱きながら、
「おばあちゃんは、あんたが成長するのが楽しみなんだよ」と
何度も何度も言っている光景に出くわしました。
都会の雑踏の中でほのぼのとした気持ちになりました。
きっとおばあちゃんを大切にする大人になってくれるでしょう。
メールマガジン【子どものやる気を引き出す!親のアプローチ】より
作者:井上郁夫(心理カウンセラー・学習スタジオクロスロード講師)
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