ある高校生から、こんな言葉を聞いて衝撃でした。
この言葉の裏には、「親が叱ってくれない」という不満があったからです。
模擬テストを終えたこの子は、「あー英語ができなかった」と言いました。
「ダメじゃないか。これからの時代、英語は、何をするにも必要だし、当面の大学受験では、絶対にできなくちゃいけない。
まずは、もう一度テストの解き直しをしてごらん。」
「はい、わかりました。・・・でも、うちの親、叱ってくれないんだよね。」
「それは、君が自分で気づけると信じているからじゃないのかい?」
「そうかもしれないけど、『どうしたら、今度のテストで点数がとれるかなぁ?』とか『何をしたらいい?』とか聞いてくるけど、
『勉強しろ!』って言われる方がわかりやすいし、すっきりするんだけどな・・・」
私は、この生徒の話を聞いて、「なるほど・・・」と感心すると共に、
子どもへのアプローチが、一筋縄では行かないことを改めて感じました。
成績が悪いことで、始終叱られている生徒にとっては、贅沢な悩みかもしれませんが、
今回のこの生徒にとっては、羨ましいどころか、物足りなさを感じ、寧ろ不満なのです。
水清ければ魚澄まずという諺が、適切かどうかはわかりませんが、
子どもへのアプローチは、バランスが必要なのかもしれません。
汚すぎる水では、子どもは育てませんが、清すぎる水でも子どもは育たないのです。
日常の、親が子どもに対するアプローチが、いつもいつも教科書に書いてあるような模範的なものであっては、
子どもも息苦しくなるのかもしれません。
叱ることは、一般的にネガティブに捉えがちですが、子どもに対する関心表現の一つなのです。
子どもの成長に大切なのは、親が子に真剣に関心を示すこと、
そして、時には、真剣だからこそ、親の感情や意見を伝えることも必要なのです。
ただし、感情的にアプローチすることはお勧めできません。
「お母さんは、あなたの勉強が足りないと思うわ」
「お母さんは、もっと成績が上げら れるように勉強してほしいの!」のように、
愛(I)メッセージで伝えるのがいいでしょう。
お子さんの様子をよくよく観察して、
親に何を期待しているのか感じることも大切だ、と感じた今日この頃です。
メールマガジン【子どものやる気を引き出す!親のアプローチ】より
作者:井上郁夫(心理カウンセラー・学習スタジオクロスロード講師)
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