きょうだい(男女の区別なし)の場合。
特に3歳程度以内のきょうだい間であれば、
なおのこと、小さいころから競争がおきるものです。
親の目から見ると、きょうだい喧嘩という形で見えます。
そして、ほとんどの場合、きょうだいの争いの原因は、親の関心の争奪戦です。
小さい頃の子どもの関心は、身近にいる親の関心を
どれだけ引き寄せるかということです。
子どもにとって、親は自分の安全や幸せを保障する存在です。
ですから、子どもは果敢に親の関心を得ようとするのです。
そんな子どもたちにとって障害は、親にとって
仲良くあってほしいきょうだいの存在なのです。
年齢の近いきょうだいは、互いに親の関心を引こうと(優位に立とうと)、
喧嘩を仕掛けるのです。
喧嘩に勝つことで親の関心を得る権利を獲得したり、
逆に負けることで親の同情を買うという形で関心を集めるなど、
様々な戦略があります(この戦略は子ども自身も無意識の中で行われていて
気づいていないことが一般的です)。
大抵の場合、上の子が親の関心を引くために使う戦略に対して、
下の子は経験不足で太刀打ちできないことを悟り、
上の子の弱みを自分の強みとして強化するという戦略にでます。
つまり、上の子とは違った方法で親の関心を得ることになります。
やがて、この行動スタイルは、一般化され、他人に対しても使うようになるのです。
きょうだいなのに性格が違うとよく言われるのは、
このようなプロセスによるものです。
例えば、上の子は、わが道を行くタイプで、人に媚びるようなところがなく、
下の子は、親分気質で人の世話を焼くタイプだったとします。
上の子は、先に生まれているだけで、特別なことをしなくても
自然と親の関心を得られる機会に恵まれていたので、
そのような態度を学んで身につけた可能性があります。
一方、下の子は、親に何かはたらきかけないと親からの注目が得られなかったと感じて、
他人に対して積極的なはたらきかけをすることを学んだのかもしれません。
この場合、下の子が、相手に配慮して、バランスの良いはたらきかけが
できている時は最高に良い子かもしれませんが、相手への配慮を忘れて
「積極的なはたらきかけをしなくては大変なことになる」と感じるようになると、
おせっかいというマイナスの行動になることもあります。
大切なことは、できるだけ、きょうだいを比較することを避け、
日頃から、それぞれの良い点にさりげなく関心を示すことです。
さらに、前述の例で、下の子の行動がおせっかいというように
バランスを欠いた行動だと感じるようになったら、
何かをしたから褒めたり承認したりするのではなく、
きょうだいそれぞれの存在自体を承認することなのです。
子どもそれぞれに、「あなたが、私の子どもで良かった」、
「あなたの存在が、私の幸せ」というメッセージを送ることです。
存在そのものが認められれば、きょうだいそれぞれ安心して外に向かって
行動できる勇気を得られるのです。
大切なことは、きょうだいを一つのくくりで見ないことです。
きょうだいであっても、異なる人格を持つ存在なのですから。
メールマガジン【子どものやる気を引き出す!親のアプローチ】より
作者:井上郁夫(心理カウンセラー・学習スタジオクロスロード講師)
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